現代人は花粉症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息など、さまざまなアレルギーを発症しています。

日本人の4人に1人は花粉症、赤ちゃんの10人に1人は食物アレルギーを発症している現状で、今までアレルギーになる本当の理由はわかっていませんでした。

 

ですから、アレルギーの予防に関する国の指針も、化学的根拠がないものだったため、今まで私たちは間違った常識のもとにアレルギー予防を行ってきたことになります。

正しい知識をつけ、まだ間に合うのであれば、アレルギーにならない子どもを少しでも多い未来にしていかなければならないと思います。

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アレルゲンは皮膚からやってくる

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皮膚から入ってきた物質がアレルゲンとなり、腸から吸収した物質はアレルゲンとならない

本来は害のない物質を敵と認識して、免疫細胞が攻撃してしまうことで、アレルギーが発症します。
花粉や食物、その他いろいろなものがアレルゲンになる可能性があります。

 

人は食物から栄養を補給し生きているため、腸にはいろいろな細菌が存在しています。
食べたものは、胃や腸で分解、吸収の過程で私たちの体の中に存在する細菌たちが、体が吸収できるように分解によって変化させるシステムが備わっているのです。

免疫が全て敵とみなしてしまったら、そもそも自分の体に存在しないたんぱく質を持っている食物を摂取することはできませんよね。
ですから、腸からの吸収は受け入れることができます。

 

では、皮膚に異物が接触したときはどうでしょう。
皮膚はあらゆる異物からわたしたちの体を守る役割をしていますので、皮膚の表面にいる見張り番役をしている免疫細胞によって、侵入を防ぐシステムが働くため、その異物が敵であるとみなされる可能性が高くなります。

 

ということは、アレルギーが発症した本当の理由は皮膚から侵入してしまった物質に反応し、私たちの体に抗体ができてしまっているということです。

 

アトピー性皮膚炎の人は食物アレルギーになりやすい

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皮膚から侵入した物質がアレルゲンになるとすると、私たちは日々全身を何かで覆っているわけではないので、空気中に存在しているあらゆるものにアレルギーが発症してしまうではないかっ。。

と思うかもしれませんが、健康な皮膚であれば空気中のものは体の中へは侵入しません。

危ないのは、皮膚に炎症や傷があるときに接触したものが、侵入するということです。

 

アトピーの人は炎症により皮膚バリアが壊れている状態の時が多く、炎症部分から空気中の物質が侵入する可能性が高くなります。

石けんを使用しているとき、傷があるときなどは、さらに注意が必要ということです。

 

何年か前に石けんによる小麦アレルギーを発症した例があります。

「グルパール19S」という加水分解小麦が含まれた石けんを使用した人にが小麦アレルギーが発症しました。

この石けんを洗顔で使用する際に、目の粘膜や荒れた皮膚から「グルパール19」が侵入したことが原因となったのです。

 

常に食品を扱う職業の人も注意が必要です。

そば職人がそばアレルギーになる例があるのも、いつも生活空間にそばが存在することが原因となります。

もちろん、手に傷などがある場合は、そこから侵入する危険もあります。

 

花粉症も皮膚からの花粉侵入が原因

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花粉症は吸い込んだ花粉の量が一定量を超えると発症するという説明を長年聞いてきましたが、実は吸い込んだ量ではなく、喉や気管支の粘膜が炎症を起こしているときに、その部分から花粉が侵入し抗体が少しずつ作られていくのだと考えられます。

 

アレルギーにならない人がいるのは何故か

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同じ環境にいてもアレルギーになる人とならない人がいる理由には、実は体の中にある免疫細胞の種類と数に違いがあります。

アレルギーのしくみに大きく関係している免疫細胞、「T細胞」と「Tレグ」について少し説明します。

  • T細胞:外からくる物質が敵なのか、敵ではないのかを判断し、攻撃の指令をだす役割
  • Tレグ:T細胞と一緒にいて、T細胞の指令を止める役割

 

この二種の細胞によって、私たちの体の中では、敵か敵ではないのか、抗体を作るか否か、攻撃するのか否かが決定されています。

ただし、この「T細胞」は私たちも知っての通り、判断が適当で間違って食べ物や花粉なども攻撃してしまうことがあるため、なんでも攻撃しないように、制御する役割をしている「Tレグ」という細胞が存在するのです。

 

同じ環境にいても、アレルギーになりずらい人はこの「Tレグ」がたくさんあって、異物に対する正常な判断ができる状態にあるということです。

「Tレグ」が少ない人は、「T細胞」の攻撃指令を止めきれずにアレルギーが発症してしまいます。

 

どうすれば「Tレグ」が増えるのか

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  1. 妊娠中のお母さんが、細菌の多い環境にいることで、胎児が細菌が多い世界に適応できるように「Tレグ」が増える
  2. 生後~3歳までの間に、細菌との接触が多い環境で育つことで、「Tレグ」が増える
  3. 腸から食物を吸収することで増える

 

「Tレグ」が増える条件は、この3つです。

上記1,2は妊娠中から3歳までに限定されてしまいます。

また、細菌が多い環境にいるというのは、農家や酪農などをやっているような環境であれば可能ですが、現在の私たちの生活を考えると当てはまらず現実的ではない人が多いでしょう。

 

ただし、常にキレイな部屋での生活は、赤ちゃんにとってはアレルギー発症の可能性をあげることがわかります。

例えば、酪農家で育った人は、「Tレグ」をたくさん持っていて、アレルギーの発症率が低くなるということです。

 

では、上記3はどうでしょう。

これに関しては、実は皮膚から侵入する前に、腸から吸収することが大切ということです。

腸から先に吸収することで、その物質専用のTレグが多くなり、皮膚から侵入した際に「Tレグ」の働きで異物だと判別しないようになります。

 

ですから、ある物質のアレルギーが発症してしまうと、その物質を摂取することで体に炎症が起きるようになりますので、腸から吸収して「Tレグ」を増やすといことが難しい状況になります。もう遅いということですね。

 

生まれてくる赤ちゃんをアレルギーにしないために

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「Tレグ」を増やすカギは、妊娠中から生後3歳までが重要ということがわかりました。

実は今までこの「Tレグ」の存在と役割、アレルギーの発症について科学的に明確になっていなかったため、間違ったアレルギー予防の知識が常識となっていました。

 

そもそも、妊娠中は卵などのアレルギー食品を避けることを実践してきたお母さんが多いのではないでしょうか。

これは、2000年に発表されたアメリカ小児科学会の指針がもとになっています。

  • 妊娠中、授乳中のアレルギー食品の摂取を避けること
  • 乳製品を与えるのは1歳以降、卵は2歳、ナッツや魚は3歳以降

 

2000年の時点で根拠となる研究や調査はほぼ存在していなかったのにもかかわらず、この指針をもとにしたアレルギー予防が実践されていました。

その後の研究で2008年に指針が改定されました。内容は以下のものです。

  • 妊娠中、授乳中、離乳食でアレルギー食品を避けてもアレルギー予防に効果があるという化学的根拠はない

 

というものでした。

 

また、さらに7年後の2015年にアメリカのアレルギー学会で発表された研究結果では、子どもが早い段階でアレルギー物質を食べることによって、そのアレルギーを予防できるという結果がでています。

  • 皮膚より先に腸から吸収すべし

 

赤ちゃんがある物質を先にどこから吸収するかが、ポイントとなるということです。

もし赤ちゃんが離乳食を始めた段階で、すでに卵アレルギーが発症したとします。

ということは、すでに卵の成分が皮膚から赤ちゃんの体に侵入していたということです。

ですから、今後、離乳食は生後6か月からという目安も、アレルギー対策の点から変わってくる可能性も高いですね。

  • 皮膚からの侵入を阻止

もちろん、離乳食前はスキンケアにより皮膚を保護し、外からの異物の侵入を防ぐことと、生活環境にアレルゲンとなりやすい食物等を置かないことがアレルギー発症予防になります。

 

これらを実践していくことがアレルギー発症を防ぐカギとなるのです。

 

アレルギーは完治しない?

泣いている女性の画像

現在、花粉症に有効とされている治療法は存在します。

全ての人が完治するわけではありませんが、これによって症状が軽減される可能性があります。

ただし、それなりに時間がかかる治療法です。

また、学童期前の子どもに関しても食物アレルギーの治療法があります。

 

他のアレルギーに関しては、残念ながら今は対処法しかありません。

 

これらの他にも、現在アレルギーを発症する成分を取り除いたアレルゲンを摂取し「Tレグ」を増やす方法が研究されています。

近い未来にはそれら実用化され、さまざまなアレルギーの対処法ではなく治療法が一般化されることを期待しています。

花粉症の人に有効な治療法

・舌下免疫療法

スギ花粉症用の根治療法で、2014年から保険診療が適用されました。
舌の裏側に花粉成分が入った液体を垂らす方法で、舌の裏の毛細血管からアレルゲンを吸収し「Tレグ」を少しずつ増やす方法です。
自宅でできるため通院の負担が少なくてすみます。

・皮下注射免疫療法

1960年代から保険適用の花粉成分が入った薬剤を注射する方法です。
週に1回、月1回のペースで通院が必要となります。

食物アレルギーに有効な治療法(学童期前の子ども対象)

・経口免疫治療法

学童期前の子どもの免疫が変化しやすい時期を利用した治療法です。

アレルギー症状がおきない少量のアレルゲンを毎日摂取して、「Tレグ」を少しずつ増やす方法です。

 

ただし、この方法は身の回りに存在するアレルゲンを除去していない環境で実施すると、口から摂取したアレルゲンの量+皮膚から接触したアレルゲンの量が、許容量を一気にオーバーし、アナフィラキシーショックを起こす可能性があることや、治療を行ったアレルギーの完治率が低いこともあり、お勧めしていない医師もいます。

 

これ以上、アレルゲンを増やさないために

NGサインの女性

アレルギー体質の人は、自分のアレルゲンが年齢を増すごとにどんどん増えていく傾向があります。

これ以上アレルギーが酷くなったら。。という可能性は深刻な悩みです。

すこしでも対策をして、アレルギー予防を心がけましょう。

・スキンケアを心がける

アレルゲンは皮膚からの侵入が原因であることがわかりましたので、とにかく皮膚バリアが壊れた状態を作ってはいけません。

 

また、手が湿疹や荒れてボロボロの状態で食品を触るのはキケンです。料理を作るときは気を付けなければなりませんね。

手に傷がある状態でゴム手袋も危ないですね

・植物のエキスが入った石けんは使わないこと

石けんを使用する際は、一時的に皮膚バリア機能が低下しますので、石けんに含まれている成分が皮膚から侵入しやすくなります。

 

ですから、食物アレルギー防止のためにも、植物エキスや食物、オイルなど、食べ物として摂取する物質の成分が含まれているもは使用しないようにしましょう。

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