ダニアレルギーの治療法として、「舌下免疫療法」があります。
アレルギー性鼻炎の免疫療法として「脱感作療法」や「減感作療法」とも呼ばれています。
アレルギー発症後の完治は基本的に難しいと言われており、飲み薬や塗り薬による対症療法がおこなわれていますが、ダニアレルゲンについては、治療が可能なのです。
ただし、全ての人に効果があるわけではないので、治療の仕方や治療期間などを事前に確認し、自分が治療できるのかを把握することが大切です。
ダニアレルギー、ハウスダストアレルギーの舌下治療法の費用や効果、副作用、必要な治療期間などについてご紹介します。
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ダニの舌下免疫療法とは
ダニの舌下免疫療法は、2015月に保険適応となりました。
日本ではスギ花粉に次いで2つ目の舌下免疫療法が行える保険適応アレルゲンとなります。
ダニによるアレルギー性鼻炎の症状がある人が対象の治療で、舌の下にアレルゲンエキス(ダニの抽出物)が含まれている薬を投与します。
この治療は、アレルゲンのエキスを少しずつ体に入れることで、徐々にアレルゲンに体を慣らしていき、アレルギー症状を抑えたり、根治を目指す方法です。
※完全に治らない場合や治療の効果があらわれないケースもあります。
舌下免疫療法は自宅でできることから、通院の負担が軽いことがメリットですが、アレルゲンを体内に入れるために副作用がでた場合の対処などを、きちんと理解した上で始めなければいけない治療となります。
治療に使用する薬とは?
現在、ダニの舌下免疫療法に使用されている薬は2種類あります。
- アシテア
- ミティキュア
という薬です。
これらの違いは、アシテアの方がダニの成分が多く含まれています。
ですから、アシテアの方が早く効きそうな気がしますが、副作用のリスクもあがる可能性があります。
病院によって、処方される薬がいずれかに決まっている場合もあります。
全てのダニに効く?
治療で使う薬に含まれているアレルゲンエキスは、
- ヤケヒョウヒダニ
- コナヒョウヒダニ
の成分です。
屋内にいるダニはこの2種類が多く、アレルギーの原因になっているのもこのダニたちです。
ちなみにハウスダストの約98%はダニと言われていますので、ハウスダストアレルギーのアレルギー性鼻炎に対しても同様に本治療の効果が期待できると言えます。
ダニの舌下治療法の効果は?アレルギーは治る?
ダニの舌下免疫療法を受けても効果があらわれない人もいます。
主に、以下の症状が改善されることが期待できます。
- アレルギー性鼻炎の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)の改善
- アレルギーを抑える薬を減らすことができる
などです。
そして、どのくらいの効果なのかと言うと、実際に治療を受けた人のデータでは、
- あまり効果を感じない(約20%)
- アレルギー症状が緩和される(約60%)
- アレルギー症状がほとんどなくなる(約20%)
ということです。
すべての人がよくなるわけではないのです。
ダニアレルギーは花粉症のような季節性のアレルギーに比べると、一年中通して症状がでるツライアレルギーの一つです。
少しでも症状が軽くなれば、薬の量が減らせるので嬉しいと思う一方、治療の効果がでない場合もあることを考えると、治療を始めることを決断するのに少し勇気がいります。。
治療期間はどのくらい?
舌下免疫療法は長期期間の治療が必要となります。
目安は3年から5年と言われており、治療を開始してから1年後以降で治療の効果がはっきりとわかるケースが多いようです。
もちろん、ダニの繁殖時期の兼ね合いから、アレルギー症状が強くでやすい期間もありますので一概には言えませんが、人によっても効き方が変わってくるようです。
舌下免疫療法の薬の使い方は?
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薬の使い方
- 薬は、舌の下(裏側)に置きます。
※薬は錠剤です。 - 2分間口に含んだままの状態にします。
- その後、薬を飲み込みます
服用時の注意
薬の服用時には以下の注意点があります。
毎日のことですので、注意点をきちんと考慮して、治療を受けることができるかを決めましょう。
- 可能な限り毎日続けること
- 薬の服用後5分間は、うがいや飲食はしないこと。
- 薬の服用する前後2時間は、入浴、アルコール、激しい運動は控えること。
舌下免疫療法の費用は?保険適用は?
保険適用のアレルゲンは?
現在、”スギ花粉”と”ダニ”の舌下免疫療法について保険が適応されます。
海外では、スギ以外の花粉が多く飛んでいるため、それらの花粉の舌下免疫療法がありますが、日本ではこの二つとなります。
費用はいくら?
保険適応で3割負担の場合の1か月の費用は、
- 3,500円程度
です。
初めや定期的なアレルギー検査の費用が別途かかります。
舌下免疫療法は子供でも受けられる?
12歳以上であれば、保険適応でダニ舌下免疫療法を受けることができます。
また、高齢の方の場合は、治療を受けることはできますが、効果があまりでないケースが多いとのことですので、お医者さんと事前によく相談してください。
ダニ舌下免疫療法の副作用
舌下免疫療法では、アレルゲンのエキスを口の中からとり入れることになりますので、下記のような副作用がおきる可能性があります。
主な副作用としては、
- 口の中の炎症がおきる(腫れや口内炎)
- 喉のイガイガやかゆみ
- アレルギー性鼻炎の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)
などです。
治療を始めてから1か月はこのような副作用がでるケースが多く、その後徐々に症状が改善されます。
※改善までの期間や症状は人によって異なります。
副作用のアレルギー症状の発症が多いことから、その点についてもきちんと理解して始める必要があります。
体調の変化や気分の悪さなどを感じたら、医師との相談が必要です。
舌下免疫療法の注意点
治療開始時期を制限される場合も!
ダニの舌下免疫療法の治療の開始にあたり、基本的に時期などの制限はありませんが、花粉症など他のアレルゲンが原因のアレルギー性鼻炎の症状が強くでる時期は避ける場合もあります。
他のアレルギーもあることがわかっている方は、事前にお医者さんに伝えるようにしましょう。
通院が必要
治療初期は副作用の症状がでるケースが多いため、2週間おき程度での通院が必要となります。
※副作用が強くでた場合は、頻度があがる可能性があります。
副作用の症状が落ち着いてきた段階で、体調などを考慮して、月1回程度の通院に切り替えられます。
通院間隔の切替え時期は症状と医師の判断によります。
ダニとスギ花粉の治療は同時にできない
舌下免疫療法はダニだけではなく、スギ花粉についても治療が可能ですが、ダニとスギ花粉の治療を一緒に受けることは推奨されていません。
両方のアレルギーがある人は、どちらの治療を優先するか医師と相談してください。
ステロイド内服薬との併用はNG
舌下免疫療法を行っている間は、ステロイドの内服薬を飲むことは控えてください。
また、アレルギーの際に使用する可能性がある、ステロイドが含まれている点眼薬や点鼻薬については、併用はOKです。
なお、抗アレルギー薬や、抗ヒスタミン剤などの薬の併用もOKです。
舌下免疫療法を行える病院
すべての病院で、舌下免疫療法が行えるわけではありません。
アレルギー検査を行うことができる病院でも、舌下免疫療法は行っていないところもありますので、事前に確認してから受診しましょう。
また、スギ花粉とダニの両方の治療ができる病院と、いずれか一方のみができる病院がありますので、”ダニの舌下免疫療法ができるか”と確認してください。
舌下免疫療法ができない人
舌下治療法が受けれない場合もあります。
なんらかの病気や症状がある場合は、必ず問診の際に確認しましょう。
- 妊娠中の人
- 妊娠の予定がある人
- 喘息の症状が強くでている人
- 心臓病やガン治療をしている人
- 免疫系の病気の人
まとめ
ダニの舌下治療法についてご紹介しました。
治療のメリットは、
- アレルギーが治るかも
- アレルギーの薬の量が減るかも
治療をする上で理解が必要な点は、
- 治療の効果がでないかもしれない
- 長期期間にわたり治療が必要
- 通院が必要なこと
などです。
ダニアレルギー治療を検討している人は、医師とよく相談してから決めてください!
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