お米にアレルギー症状がおきる「米アレルギー」は、以前は発症する人が少なく珍しいと言われる食物アレルギーでしたが、最近徐々に増えています。
その原因の一つには、美味しさを追求した品種改良によるモチモチ化があげられ、
”お米のモチモチ!”がアレルギーを増やす原因?!と言われているんです。
お米アレルギーには主に二つの原因があり、一方はモチモチに、もう一方は通常のタンパク質アレルゲンが反応しています。
お米アレルギーの原因や症状、アレルギーの検査、アレルギーがでにくいお米の品種についてご紹介します。
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米アレルギーの原因
お米のアレルギーには、大きく二つの原因が存在します。
- タンパク質がアレルゲンとなる
- デンプン質がアレルゲンとなる
通常の食物アレルギーは、アレルゲンタンパク質が原因となるのですが、お米の場合は、「デンプン質」もアレルギーを引き起こす原因となります。
たんぱく成分
お米のタンパク成分としては、以下のものがあげられます。
- αアミラーゼ阻害因子
- βグロブリン
- グリオキサラーゼ
この中でも、アレルギー反応が強くでやすいものは「グロブリン」と言われています。
ちなみに、お米のアレルゲンは、加熱・消化酵素に対し比較的安定していますので、加熱してもアレルギー性の強さはあまり変わりません。
でん粉質
デンプン質には2種類あります。
- アミロース
- アミロペクチン
実は、これらのデンプン質の割合で、私たちが食べているお米の食感が変わってくるんです。
お米には、「もち米」と「うるち米」がありますよね。
普段わたしたちが食べているお米は、品種により「もち米」と「うるち米」掛け合わせたものなんです。
「もち米」はアミロペクチン100%のデンプン質からできています。
品種改良を経て、それぞれのお米はアミロペクチンとアミロースの割合が変わってきており、それが食べた際のモチモチ感の違いとして表れているんです。
そして「アミロペクチンが多いほど、アレルギー反応を起こしやすい」と言われています。
アミロペクチンは、アミロースに比べ消化に時間がかかることから、腸内環境を乱しやすいことも関係しています。
ですから、「モチモチはアレルギーを起こす」可能性が高まるということですね。
もちろんタンパク質が原因のアレルギーの人はモチモチでも問題ない可能性はあります。
米アレルギーの症状
上でご紹介した通り、米のアレルギー反応の原因には「タンパク質」と「デンプン質」があるのですが、それぞれでアレルギー症状がでるタイミングに違いがあります。
- タンパク質が原因の場合⇒即時型アレルギー(食べてすぐ~1時間以内に症状がでる)
- でん粉質が原因の場合⇒遅延型アレルギー(6~24時間以降にでて、アトピーの原因となる)
▶タンパク質が原因の場合の症状
- 湿疹・蕁麻疹・皮膚のかゆみ
- 腹痛・下痢
- 胃痛・吐き気
など通常の食物アレルギーの症状がでます。
食べてからすぐに症状がでる即時型アレルギーのため、アレルゲン特定は比較的しやすいのが特徴です。
▶デンプン質が原因の場合の症状
- アトピー性皮膚炎
上記の食物アレルギーの症状に加え、アトピーの症状がでるケースが多くみられます。
遅延型の症状の特徴としては、頭痛やめまいなどの症状があらわれることもあります。
遅延型でアトピーの症状がでることから、原因アレルゲンを見つけることが困難と言われています。
また、お米によるアレルギーの場合は、小麦アレルギーででるような、食物依存性運動誘発性アナフィラキシー(食べたあとに運動をすることで誘発されるアレルギー症状)はほとんどでないと言われています。
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米アレルギーの交差抗原性
米にアレルギーがある場合、下記のものにも交差性があると言われていますので、注意が必要です。
交差性とは、タンパク質の構造が似ていることで、体内の免疫が同じ異物と勘違いをすることからアレルギー反応を起こしてしまうことです。
米は、小麦、イネ科の食物と交差性があると言われていますが、お米にアレルギーがある全ての人が交差性があるものに対してアレルギー症状がでるわけではありません。
- 小麦
- イネ科の食物(カモガヤ、ネズミムギ、ススキ、葦)
米アレルギーの検査
お米は採血によるアレルギー検査(特異的IgE抗体検査)で判定することができます。
ただし、このアレルギー検査はアレルゲンタンパク質に対する抗体値をチェックする検査となりますので、デンプン質が原因となっているアレルギーの場合は、IgE抗体値は陰性となるケースが多いので、診断が難しいと言われています。
▶血液検査で確認が可能な穀物の項目
- 米
- 小麦
- ライ麦
- 大麦
- オート麦
- とうもろこし
- ソバ
- キビ
- アワ
- ヒエ
- グルテン
- 麦芽
- ω-5グリアジン
▶血液検査で確認が可能なイネ科の食物の項目
- ハルガヤ
- ギョウギシバ
- カモガヤ
- ヒロハウシノケグサ
- ホソムギ
- オオアワガエリ)
- アシ
- ナガハグサ
- コヌカグサ(属)
- セイバンモロコシ
- 小麦(属)
- オオスズメノテッポウ
- スズメノヒエ(属)
です。
普段から食べているものや、お米と交差性があるものも一緒に検査することをおすすめします。
検査項目は自分で選ぶことも可能ですので、医師と相談して決めましょう。
アレルギー検査の詳細についてはこちらから♪
⇒ アレルギー検査にかかる費用とアレルギー検査項目のすべて
お米アレルギーを起こしにくい品種
アレルギーの原因が「デンプン質」である場合は、もしかすると選ぶお米によっては、アレルギー症状が緩和される可能性があります。
アレルギーの原因となる「アミロペクチン」の割合が多いほど、粘り気が強くモチモチした食感となります。
ということは、「アミロース」が多く、あまりモチモチしていないお米を選ぶことで症状が緩和、またはでなくなる人もいるということです。
代表的なお米のデンプン質の割合は、
- もち米:アミロース0%/ アミロペクチン100%
- ミルキークイーン:アミロース9~12%/ アミロペクチン91%~88%
- コシヒカリ:アミロース約17%/ アミロペクチン約83%
- ササニシキ:アミロース約20%/ アミロペクチン約80%
- ゆきひかり:アミロース約21%/ アミロペクチン約79%
お米によってデンプン質の割合が異なってきます。
ミルキークイーンという品種を知っていますか?
とにかくモチモチを追求したお米なんです。
アレルギーがある人にはかなりツライ代物になりそうですが、ふっくら美味しいお米というのが特徴です。
そして、この中では、「ゆきひかり」が最もアミロペクチンが少なさそうですね。
わたしは食べたことがないのですが、「ゆきひかり」はあまりモチモチしていないことから、冷めるとパサパサになり美味しくないそうです。
市場に多く流通している「コシヒカリ」はモチモチ度が高いと言われるお米です。
米アレルギーの人には、「コシヒカリ」はNG、「ササニシキ」を選べ!とよく言われています。
農薬・化学肥料のせいかも
アレルギーの症状がでる人の中で、農薬・化学肥料を使っていない、有機栽培のお米を食べたら症状が軽減したという人が多くいます。
お米や野菜に使われている”農薬”や”化学肥料”に対してのアレルギー検査ってできないんですよね。
そもそもお店で販売されているお米に使われている農薬や化学肥料についての記載義務はないですから、しょうがないと言うしかありません。
ですから、実際に試してみて
体調がどうか?アレルギーの症状はどうか?
を比較、確認してみるしかないんです。。
ササニシキにしてみたけど、あまり症状は変わらなかったのに、有機栽培のお米に変えたらアトピーの調子がよくなったというケースも実際にあることから、農薬や化学肥料がアレルギー体質の人の症状に影響していることは確かだとは思います。
アレルギーの原因が「お米」かな?!と思ったときには、
- お米のアレルギー検査を受けること
- 高アミロース低アミロペクチン米を試してみること
- 有機栽培米、特別栽培米を試してみること
をおすすめします。
是非試してみて下さいね!
まとめ
お米アレルギーについてご紹介しました。
お米のアレルゲンはタンパク質だけではなく、デンプン質にあることがわかりましたね。
デンプン質が原因の場合は、お米の選択によって症状が改善されることもありますので、いろいろお試ししてみるのがいいと思います。
また、アレルギー体質の人は腸内環境を整えるためにも、普段から消化がよいもの、消化がよいお米を意識して摂るようにしましょう。
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