抗生物質の一種のペニシリン系の薬の使用することで起きるアレルギーを「ペニシリンアレルギー」と言います。
「ペニシリンアレルギーだと思っていたけれど、実は違った。。」
なんてこともあるので、自分やお子さんのアレルギーの状態をきちんと知っておく必要があります。
ペニシリンアレルギーの原因や症状、アレルギー検査、代替薬などについてご紹介します。
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ペニシリンアレルギーとは?原因はなに?
アレルギーと言うと、食物や植物、花粉などが原因物質となることが多いですよね。
薬は分子量が小さいことから、一般的にはアレルギーを起こしづらいと言われていますが、いくつかのお薬では実際にアレルギー症状を発症するケースがあります。
ペニシリンアレルギーもその一つで、ペニシリンに対しアレルギー反応を起こす薬物アレルギーの一種と言えます。
薬物アレルギーを起こしやすいと言われているものには、
- 抗生剤(ペニシリン系、セフェム系)
- 解熱鎮痛剤(NSAIDs)
- 抗がん剤
などがあげられ、ペニシリン以外でも薬物によるアレルギーを起こすこともあります。
ペニシリンは、主に感染症に使用されるお薬で、β-ラクタム系抗生物質に分類されます。
βーラクタム系の抗生物質には、
- ペニシリン系
- セフェム系
- カルバペネム系
- モノバクタム系
- ペネム系
などがあります。
ペニシリン系のみがアレルギーの対象と診断された場合は、βーラクタム系でペニシリン以外の薬が使用されます。
一方、βーラクタム系すべてにアレルギーがでる可能性があると診断された場合は、βーラクタム系以外の抗生剤を使用することなります。
同じβーラクタム系の薬は、ペニシリン系の薬に対し、それぞれ交差反応の度合いが異なります。
ですから、どの薬であれば使用できるのかは、基本的には、診断や検査により医師が判断します。
ペニシリンアレルギーの症状
ペニシリンによる薬物アレルギーで起きる主な症状としては、
- 発疹・蕁麻疹
- 皮膚のかゆみ
- 目のかゆみ
- 耳鳴り
- 頭痛
- 嘔吐
- 下痢
- 気管支喘息
- めまい、血圧低下
- 意識障害
- 呼吸困難
- アナフィラキシー
などがあります。
ペニシリン注射によるアナフィラキシーの例もあることから、ペニシリンにアレルギーがある人は、十分に注意が必要となります。
アナフィラキシーの詳細についてはこちらから♪
⇒アナフィラキシーの症状とは?エピペンが必要?起きたときの対応、処置は時間が勝負!!
ペニシリンアレルギーは検査でわかる?
ペニシリンアレルギーの疑いがある場合は、まずは問診にて判断し、検査が必要と判断されると
- 皮膚試験
を実施します。
皮膚試験は、皮膚に小さな傷をつけてアレルゲンエキスを接触させる「プリックテスト」を行います。
アレルゲンの皮下注射による「皮内テスト」はアナフィラキシーを起こす危険性があることから現在は行っていないようです。
また、抗生剤を投与する必要性がある場合以外は、ペニシリンのアレルギー検査は受けられない可能性がありますので、検査を受けたいと考えている方は事前に医師に相談してください。
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子どもの頃の診断が誤診の可能性あり!
子どもの頃の既往歴からペニシリンにアレルギーがあると思っていた人が、実際にはアレルギーではなかった人が90%以上もいるという米国の研究結果があります。
「えっ、そんなに?なぜ?」
と思いますよね。
理由としては、
- 子供の頃に投与された抗生物質によって症状がでたことで、アレルギーと誤認される場合
- 実際にアレルギーであったが、時間経過とともに体内にあった抗体値が低下し、消滅する場合
が考えられるとのことです。
研究結果は米国のものですが、日本においても長年ペニシリンアレルギーだと思っていた人が、検査をすると陰性であり、なおかつペニシリンを使用してもアレルギー症状が起きないことも実際にあると言います。
ですから、正確な診断を受けることがとても大切だということです。
ペニシリンアレルギーの代替薬はある?
ペニシリンの代替薬は、ペニシリンに比べると
- 感染症に対する効果が低い
- 副作用が強い
- 価格が高い
という傾向があるため、本当にペニシリンにアレルギーがあるかを確認してから薬を選択することが必要だと言われています。
ペニシリン系と同じβーラクタム系抗生物質の中で、アレルギー症状がでないものを使うなどの処置がとられる場合もあります。
同じβーラクタム系を使用する際は、プリックテストを行ってから投与できるかをチェックする場合もあるようです。
ピロリ菌除菌ができなくなるってホント?
ピロリ菌除菌に使われる薬には、ペニシリン系の薬が含まれています。
アレルギーがある場合は、他の薬で代用することもできますが、ピロリ除菌の成功率が落ちると言われています。
ピロリ除菌は2回失敗してしまうと、その後除菌することが難しくなるため、ペニシリンにアレルギーの疑いがある人は、アレルギー科での受診や検査などを含めて事前に確認するようにしましょう。
ペニシリンアレルギーは遺伝する?
アレルギー体質は遺伝すると言われていますが、遺伝率は100%ではありません。
なんらかのアレルギーを持っている人は年々増加傾向にありますので、遺伝ではなくてもアレルギーを発症する人もいますし、両親がアレルギー体質であっても発症しない子供もいます。
ですから、親がペニシリンにアレルギーがあっても、子供もペニシリンにアレルギーを起こすとは限らないんです。
ペニシリンは感染症などにとても有効な薬です。
「アレルギーかもしれないから。。」
という理由だけで判断せずに、きちんと医師と相談することが大切です。
アレルギーと遺伝の関係についてはこちらから♪
⇒アトピーが子どもに遺伝する確率は?妊娠中の対策や発症は予防できるのか?!
まとめ
ペニシリンアレルギーについてご紹介しました。
食物アレルギーや花粉症と異なり、自覚症状に加え、適切な医師の診断や検査が必要となるアレルギーと言えます。
アレルギーの疑いがあるかたは、医師と相談の上、アレルギー科などの受診も検討しましょう。
ペニシリン以外の薬物アレルギーについてはこちらから♪
⇒ピリン系アレルギーの症状とは?アスピリンもNG?ピリン系市販薬、処方薬はどれ?
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